風の子のなかまたち

会の名前が新しくなりました!

群読サークル「すいれん」 活動のご紹介

 すいれんは、2011年2月から下北沢の岸家を拠点にして活動しています。ここは劇団風の子発祥の地で長年劇団の稽古場と事務所がありましたが、劇団が八王子へ引っ越し、2016年10月に神田成子さんが建て替えて、新しい稽古場が二階にできました。とてもきれいな稽古場で、荷物を置くロフトと、壁面には備え付けの本棚もあります。

 「すいれん」という名前は、戦後の焼け跡で「子どもたちに文化を」と、大学生だった多田徹さんたちがつくった「睡蓮文庫」にちなんでいます。多田さんが「小さくても自由な創造の場を」と発案し、神田さんが風の子に関わりのあったメンバーに声をかけて、すいれんが発足しました。「言葉を大切に読む」ということが第一義ですが、他にも動けない、セリフを覚えられない(?)という理由もあって、群読に取り組んでいます。

 

 稽古は月に2回、発表会は年に1回のスローペースですが、今年は沖縄を取り上げることになりました。昨年から「戦争」が今までになく身近に感じられ、この国がどう変わっていくのか大切な時期に来ていると感じていました。私たち自身が勉強しながら取り組んでいくということで「学習発表会」としました。

 

前半では、若くして沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」の手記を読むことで、メンバーそれぞれが身を通して戦争の実態を考え、後半では、琉球王国の始まりから現在の沖縄の状況までをスライドと朗読でつなげました。

 

 

そして迎えた10月29日(日)の学習発表会には、30名近い人たちが観に来てくださいました。皆さんから好評をいただきましたが、その中から私の友人の感想を紹介します。

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平和な毎日を心から望み、家族や友人の健康と幸せを望みます。自分の住む地域が豊かで、文化的で、多様な人々が思いやりを持ち、理解しあい、尊重しあい、譲りあい、誰もが安心して生きていける。労働で得た収入の中から、自分の生活の時間の一部で、少しでもできることがあればやってみよう。そんな気持ちを持っています。

 紛争や、差別や、迫害や、基地や、武器のニュースを、遠く離れた、自分とはかけ離れた関係のないただの情報。自分にできることなんてどうせ無い。

なんて、思わずに…。

自分にできることをやっていく。できることがあるのは嬉しいことだし、幸せなこと。

森の中で過ごしたり、こどもたちのキラキラした眼差しに出会ったりするたびに、幸せだな、平和っていいなとしみじみ思います。

 

 ひめゆり学徒隊の手記の朗読は、押し殺した声にも体温が感じられ、その時のことが臨場感を持って伝わってきました。また、後半の沖縄の過去~現在の状況を映像とともに出演者が訴える姿は、まるで命を落としたひめゆりの彼女たちの、生まれることの無かった子孫の訴えのようでもありました。

 

こういうものを観ることで、遠くのことが身近なこととして捉えることができ、平和とは? 自分にできることは? と、考えることを続けさせてくれます。

すいれんの皆さま、学習を重ね、その事が声に、息づかいに現れ、胸に染み込みました。ありがとうございました。(Y・A)

 

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事後交流会にもたくさんの方たちが参加して、地域での活動の報告や、どんなふうに社会と関わったり考えたりして生きているかも話してくださり、有意義でかつ笑いのたくさんあるあたたかい時間を過ごすことができました。(堀切リエ)

 

【群読サークルすいれん学習発表会】

ひめゆりたちの歌 あの日々を生き延びて、そして現代へ」

脚本:堀切リエ

出演:岸原鶴生 羽生田正明(特別出演) 湯浅健 野田ちひろ 堀切リエ 安田香月 日向寺みどり 三宅たまき 高橋千明 加藤悦子

 

【参考にした本・皆で読んだ本】

ひめゆり関係〉

ひめゆりの塔をめぐる人びとの手記』仲宗根政善 角川文庫

ひめゆり沖縄戦』伊波園子 岩波ジュニア新書

ひめゆりの少女』宮城喜久子 高文研

『13歳の少女が見た沖縄戦』安田未知子 wave出版

ひめゆりの塔』西平英夫 雄山閣

『私のひめゆり戦記』宮良ルリ ニライ社

『生かされて生きて』与那覇百子 道友社

ひめゆり学徒隊の引率教師たち」ひめゆり平和祈念資料館

ひめゆり平和祈念資料館」ブックレット

〈その他沖縄関係〉

『海をあげる』上間陽子 筑摩書房

『沖縄のこころ』太田昌秀 岩波新書

『白旗の少女』比嘉富子 講談社青い鳥文庫

『阿波根昌鴻 土地と命を守り沖縄から平和を』堀切リエ あかね書房

菜の花の沖縄日記』坂本菜の花 ヘウレーカ

沖縄戦後史』中野 好夫、 新崎 盛暉 岩波新書

『沖縄現代史』新崎 盛暉  岩波新書

『沖縄の歴史と文化』外間 守善 中公新書

『沖縄は戦場だった』鈴木喜代春他編 らくだ出版

『戦争と沖縄』池宮城秀意 岩波ジュニア新書

『ずいせん学徒の沖縄戦』宮城巳知子 ニライ社

冊子「若者、ガマフヤーと語る」

〈沖縄に関連する新聞記事のスクラップ〉